エピファネイアって何?経歴は?種牡馬としての成績や産駒についても解説!
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エピファネイアって何?
エピファネイアとは日本の競走馬・種牡馬です。
JRA賞年度代表馬シンボリクリスエスとオークス馬シーザリオとの間に生まれた良血馬で、競走馬として2013年の第74回菊花賞を5馬身差、2014年の第34回ジャパンカップを4馬身差で勝利しました。
ジャパンカップで獲得したワールドベストレースホースランキングのレーティング129ポンドは、日本国内の芝2400メートルにおける史上最高値です。
競走馬引退後は種牡馬として三冠牝馬デアリングタクト、年度代表馬エフフォーリア等を出しています。
今回はそんなエピファネイアについてご紹介していきたいと思います。
競走馬時代
デビュー前
父は、2002年・2003年に天皇賞(秋)・有馬記念をそれぞれ連覇し。2年連続で年度代表に選出されたシンボリクリスエスで、本馬はその6代目にあたります。
本馬の誕生時点では、ダートを主戦場としたサクセスブロッケンが産駒唯一のGI馬でした。
母は、現役時代通算6戦5勝、2005年に優駿牝馬、アメリカンオークスステークスを制したシーザリオです。
繫靱帯炎によって繫殖入りすると2年続けてキングカメハメハと配合されましたが、その産駒はともに脚部不安で大成せず、その後1年の不受胎を経て、シンボリクリスエスとの間に本馬を設けました。
本馬は3番仔として2010年2月11日にノーザンファームで生まれ、「シーザリオの2010」としてキャロットクラブで総額6000万円を条件に出資者が募集されました。
ギリシャ語で、「公現祭」を意味する「エピファネイア」と命名されました。
これは、母シーザリオと同じく、ウィリアム・シェイクスピアの喜劇「十二夜」にちなんでいるとされています。
2歳
10月21日の京都競馬場の芝1800メートルの2歳新馬戦にて福永祐一を鞍上にデビュー。
中団からは最後は2着に3馬身差の圧勝でデビュー戦を飾りました。
2戦目の京都2歳ステークスでは圧倒的1位を誇り、レースは前目の競馬となりましたが、上がり最速の33秒7で2着に1¾馬身差で2勝目。
続いて出走した暮れの阪神競馬場の第29回ラジオNIKKEI杯2歳ステークスでは1000メートル通過66秒のスローペースのなか、逃げたバッドボーイや2番手追手のキズナといった有力馬に競り勝ち、3勝目を重賞初制覇で飾りました。
3歳
3月3日の第50回弥生賞は前週に福永が騎乗停止となり、ウィリアム・ビュイックが代役を務めました。
レースは最後の直線一旦先頭に立つも、それまでの伸びが陰を潜め4着に敗れ、初黒星を喫しました。
この敗戦により、母シーザリオも持っていた激しい前進気勢に対する折り合いという課題が顕在化しました。
4月14日の第73回皐月賞は鞍上に福永が復帰したものの気性の荒さが災いし前へ行きたがり、中団になるはずのポジションが2番手となってしまい、直線で懸命に追い込むも、レコードタイムで駆け抜けたロゴタイプの2着となりました。
続く第80回東京優駿はまたまた気性の荒さが災いし、躓いて落馬寸前になってしまいます。
一旦先頭に立ち、鞍上の福永祐一は悲願の日本ダービー制覇目前まで迫ったが、残り50メートルでキズナに差しきられて2着惜敗しました。
後に鞍上の福永は、テレビ番組「うまンchu」に出演した際にこのレースについて「こういう馬を乗りこなせないなら、もう乗り続けていても意味がないかなと思った。もう勝たなくてもいいかと思ったこともあった」と振り返っています。
夏場は休養に充て、ハミを替え舌を縛るなど工夫を施して迎えた第61回神戸新聞杯は単勝1.4倍の圧倒的1番人気に推されると、最後の直線楽々と抜けて2着に2+1⁄2馬身差の圧勝で重賞2勝目を飾りました。
牡馬クラシック3冠最後の1冠となった第74回菊花賞では、皐月賞1着のロゴタイプは中距離路線に進み、ダービー1着のキズナは凱旋門賞に出走するためフランスに遠征しており、前哨戦の神戸新聞杯を勝ったことも後押しして単勝1.6倍と圧倒的な1番人気に支持されました。
レース当日は前夜からの雨で1957年以来56年ぶり2度目の不良馬場の菊花賞となりました。
スタートを決めて前目に付けるとしっかりと折り合い、最後の直線で楽に先頭に立つと鞭を1度も入れることなく2着のサトノノブレスに5馬身差の圧勝で最後の1冠を獲得しました。
鞍上の福永は牡クラシック初制覇となり、父福永洋一も菊花賞を獲得しており、親子2代での菊花賞ジョッキーとなりました。
出走が期待された第33回ジャパンカップ、第58回有馬記念は休養のため回避しました。
4歳
4歳に入ると、本馬は芝2000mの中距離路線を進みました。
始動戦は4月6日の第58回産経大阪杯(GII・芝2000メートル)。
8頭立ての少頭数となったレースには前年の凱旋門賞4着以来となるキズナやオークス・秋華賞・エリザベス女王杯を制したメイショウマンボ、その他にもビートブラックやショウナンマイティなど豪華なメンバーが出走するレースとなりました。
1番人気に支持されたエピファネイアは4コーナーで仕掛けるも、後方で脚をためていたキズナにかわされ、先行して粘るトウカイパラダイスも捉えきれず3着に敗れました。
4月27日、海外初挑戦となった香港・沙田競馬場で行われたクイーンエリザベス2世カップに出走し、香港ダービー馬デザインズオンロームの4着に敗れ、帰国後、6月28日の第55回宝塚記念は回避することが発表されました。
放牧のため北海道安平町のノーザンファーム早来に到着したエピファネイアは明らかに筋肉が落ちており、まずは疲労回復に専念し、その後、週2・3回強い負荷をかけるハードなメニューをこなし、逞しい馬体に成長していきました。
6ヵ月の休養明けの秋初戦は11月2日に行われた天皇賞(秋)でしたが、ここでは出遅れ、スピルバーグの6着に敗れています。
5歳
緒戦はドバイへ遠征し、
3月29日にメイダン競馬場で行われた第20回ドバイワールドカップに出走しましたが、初挑戦のダートが合わずプリンスビショップの最下位9着に敗れました。
帰国後は第56回宝塚記念へ向けて調整されていましたが、6月10日の調教後に左前脚繋靭帯炎を発症、ファン投票で2位に選出されていた宝塚記念を回避して放牧されることになり、1次登録を済ませていた凱旋門賞への挑戦も白紙となりました。
その後、復帰を断念し現役を引退することになり、7月31日に競走馬登録を抹消、引退後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬となりました。
種牡馬としての「エピファネイア」
現役時代の成績は12戦6勝で、通算獲得賞金は6億8779万円。超良血場として誕生したエピファネイアは、その実力でも良血の血を証明しました。
主な勝ち鞍は菊花賞とジャパンカップですが、引退する最後の年では凱旋門賞の登録も済ませている程、エピファネイア陣営からも高い期待を寄せられていたのがわかります。
エピファネイアが種付けを開始したのは2016年からで、初年度の種付け料は250万円に設定され、社台からはサンデーサイレンス系牝馬とのクロスが可能な種牡馬として高い注目を集めています。
種付け頭数も初年度から221頭、210頭、220頭、224頭と、毎年とくに危惧すべき点がない位に順調に種付けを行っています。
そんなエピファネイアのこれまでの産駒成績は以下の通りです。
年 | 勝利回数 | 順位 | 獲得賞金 |
2019年 | 31回 | 48位 | 3億3345万円 |
2020年 | 71回 | 9位 | 16億105万円 |
2021年 | 78回 | 7位 | 19億1288万円 |
初年度産駒がデビューしたのは2019年。
血統登録を持っている産駒のうち75%を超える119頭がインブリードを持っていて、同年6月29日には早くも産駒初勝利馬が誕生します。ちなみに、エピファネイアは初年度に勝利した産駒の数が30頭を超えたのですが、これはディープインパクトとロードカナロアに次ぐ3位の記録です。
その結果、次年度からは種付け料が一気に500万円へ増額されています。
初となる重賞&G1勝利は2020年のデアリングタクトです。
結果として三冠馬を達成したことでさらに種付け料は増額され、現在は1000万円となっています。
また、2021年には前年に引退したアーモンドアイの初年度交配相手に選出。
社会現象ともなった名馬の初年度交配相手に選ばれていることから、エピファネイアの種牡馬としての期待値の高さが見て伺えます。
産駒の特徴
早熟な馬が多い
競走馬は2歳から3歳にかけて活躍する馬を早熟馬、4歳から5歳にかけて活躍する馬を晩成馬と呼びます。
エピファネイア産駒の最大の特徴として挙げたいのは早熟馬が多いという点です。
エピファネイア産駒は突出して3歳で活躍する馬が多いため、今後もクラシックレースに出走する産駒がいたらぜひ注目してください。
まだ実績は2019年からの3年間しかありませんが、すでにデアリングタクトというクラシックを3冠した産駒を輩出。
他にも、皐月賞と共同通信杯を制したエフフォーリア、アメリカJCCを制したアリストテレスなど、重賞を制覇した馬は軒並み3歳の時に活躍しています。
適正は芝
エピファネイア産駒の馬場適正は芝です。反対に、ダートではまったく活躍できていません。
- 芝⇒勝率10.1%、連対率22.9%、複勝率31.2%
- ダート⇒勝率5%、連対率9.4%、複勝率15.1%
その結果はデータからも明らか。また、芝では重賞を制覇した馬が出てきていますが、依然としてダートでは重賞を制した馬は存在しておらず、目立った活躍を残している産駒はいません。
エピファネイア自体も現役時代は芝コースしか走ったことがないですし、血統を見てもダートが強くなる要因はありません。
そのため、完全にエピファネイア産駒の適正は芝でダートは苦手と考えていいでしょう。
主な産駒
デアリングタクト
すでにエピファネイア産駒史上最高傑作ともいわれているデアリングタクトは、中央競馬史上初の無敗でも牝馬三冠を達成した名馬です。
無敗の牝馬三冠は、あのアーモンドアイさえ達成できなかった快記録なので、デアリングタクトの名が今後も競馬史に残り続けることは間違いありません。
デアリングタクトは幼少期から才能の片鱗を見せており、2歳の調教時にはスピードを制御しきることができずにスタッフを転落させることもしばしば。
デアリングタクトという名前は父と母の名前から連想して「大胆なタクティクス」を意味する馬名となりました。
デビューから順調に連勝を重ねたデアリングタクトは、史上初となる無敗でも牝馬三冠を達成した後に、これもまた史上初となる三冠馬が三頭出走するジャパンカップに参戦。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという三頭の三冠馬が出走したレースでは堂々の3着に輝き、その後は金熊賞で2着、QE2世Cで3着という結果を残しています。
現在も現役バリバリの競走馬であり、今後もさらなる活躍が期待されることは間違いありません。
エフフォーリア
ギリシャ語で「強い幸福感」という意味があるエフフォーリアは、デアリングタクトと同様に無敗でクラシックのひとつである皐月賞を制覇した名馬です。
エピファネイア産駒の特徴のひとつに早熟であると紹介しましたが、その理由はデアリングタクトとエフフォーリアを産駒に生み出しているからです。
どちらも2歳の時から強く、無敗でクラシックを制覇するという偉業を成し遂げています。
残念ながらエフフォーリアは日本ダービーで敗れたためにクラシック三冠は達成できなかったものの結果は2着。
続く天皇賞秋は圧巻の走りで1着に輝いているため、現在6戦を経て1着5回に2着1回という堂々たる成績を残しています。
エピファネイア産駒を語るうえでデアリングタクトとこちらのエフフォーリアは外せません。
ちなみに敗れた日本ダービーでは圧倒的な単勝1.7倍という1番人気に推されており、過去に多くの優勝馬を輩出した1枠1番でスタートします。
結果は2着でしたが1着との差は僅か10㎝という結果でしたので、その強さを疑う人はひとりもいません。
ちなみに日本ダービーでは父のエピファネイア、父の父であるシンボリクリスエス、母の父であるハーツクライも全員が2着で1着に輝いたことがありません。
一族の無念を晴らすかと期待されたレースでしたが、結果は惜しくも2着ということになりました。
アリストテレス
エピファネイア産駒は前述したデアリングタクトとエフフォーリアが飛び抜けて凄い活躍を残しているため、後の馬は少々見劣りしてしまう部分があります。
しかし、そんな中でもおすすめしたい産駒はアリストテレス。主な勝ち鞍はアメリカンジョッキークラブカップのG2だけですが、競争成績は14戦4勝で、通算獲得賞金額は2億円を超えています。
早熟で活躍する馬が多いエピファネイア産駒ですが、その中では珍しくアリストテレスは晩成の馬です。
初勝利は2歳未勝利ですが、才能が開花して初の重賞制覇となったのは4歳の時。G1にも出走しており、菊花賞では2着、天皇賞春では4着と善戦しています。
とくに競馬ファンの脳裏に残っているのは菊花賞ではないでしょうか。
このレースはコントレイルの無敗の三冠がかかっていたレースということもあり高い注目度でしたが、最後の最後までわからない波乱の展開でした。
最後の直線でアリストテレスはコントレイルと競い合いながら、わずかなクビの差で負けてしまったのです。
同年に同じ産駒のデアリングタクトが牝馬で無敗の三冠を達成しているため、エピファネイア産駒の注目度がさらに増したレースであるともいえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、エピファネイアについてご紹介していきました。
エピファネイアは歴史的名馬アーモンドアイの初年度交配相手に選ばれている為、今後は父エピファネイア、母アーモンドアイという産駒が誕生してくるかもしれません。
今後も更に注目すべき種牡馬と言えるエピファネイアについて気になった方は是非チェックしてみてください。