地方と中央の違いって何?開催日時やコースだけでなく、競走馬や賞金、騎手のレベルの違いについても詳しく解説!
日本で開催される競馬は、「地方競馬」と「中央競馬」の2つに分かれています。
基本的なルールや競走の方法はほとんど変わりませんが、中央競馬と地方競馬の間には細かな違いが存在しています。
今回はそんな地方競馬と中央競馬の違いについて解説していきたいと思います。
CONTENTS
地方競馬とは
都道府県や指定市町村が主催している競馬で、15競馬場で開催されています。
馬主、競走馬の登録や騎手、調教師の免許の交付は「地方競馬全国協会」が行なっています。
中央競馬とは
JRAが開催している競馬のことで、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉の10競馬場で行なわれています。
開催日時の違い
地方競馬と中央競馬の決定的な違いとして、開催日時の違いにあります。
地方競馬は、基本的に曜日に関わらず全国各地で開催されており、ビッグレースはJRAの開催と被らないように、平日に行われることも多いです。
1日のレース数は、基本的に10~12レース程で、競馬場によっては、夕方から夜にかけてナイターレースを実施しています。
対して中央競馬の開催は、基本的に土日のみとなっており、開催時間に関してはおおむね午前10時ごろ~午後4時半ごろまでで、1日12レースを行うのが通常となっています。
地方競馬は、競馬法及び競馬法施行規則により、年間開催回数と1開催あたりの開催日数、1日あたりの競走回数が定められています。
1回の開催における開催日数は6日を超えず、1日の競走回数は12レースを超えません。
1回の開催における日取りは、連続する12日間の範囲内の日取りとし、年間開催回数がそれぞれの競馬場によって定められており、その回数を超えることはありません。
しかし、施設改善もしくは公益性の高い事業に対する財源確保を目的に開催回数上限を超えて、「特別競馬」を3回催最大18日を上限に開催することが認められています。
また、中央競馬は現在10の競馬場で年間で最大288日行われています。
10の競馬場において、原則、週末の土・日曜日の2日間を4週、計8日間で1つの開催とすることが基本とされています。
1年=365日=52週+1日なので52週÷4週=13開催ですが、関東で10開催、関西で10開催、中京・小倉・福島・新潟がそれぞれ3開催、北海道で4開催、合計36開催を基本に2006年まで日数を1開催8日間の固定で日程が組まれていました。
ただ、各競馬場の改修工事がある場合は代替開催で必ずしも基本通りの開催日程にならないことが多くありました。
また、2007年以降は全体の開催日数288日は変らずに、1開催12日までが可能となって各競馬場の開催日程は毎年変動しています。
なお、年間スケジュールは「暦年制」ですが、基本的に1年の開催初日は1月5日、最終日は12月28日で、これは年末年始の地方競馬の開催と重複しないようにしているためです。
ただし、1月4日が日曜日に当たる場合、初日・最終日がそれぞれ前倒し・あとずらしになる場合もあります。
コースの違い
地方競馬と中央競馬の違いとして、コースの違いも一つの特徴として取り上げることができます。
地方競馬では、芝コースを設けている競馬場が盛岡競馬場しかなく、その他の競馬場は全てダートコースのみのコース設定となっているのに対し、中央競馬が行われる競馬場では、芝コース・ダートコース共に完備されており、内側にダートコース、外側に芝コースというように設置されています。
地方競馬がダートコースをメインとしている理由として、維持費の高さが挙げられています。
地方競馬は1週間近く連続して開催されているため、芝コースだと痛むのが速く、維持をするのが非常に難しいようです。
また、競馬場の敷地面積が狭いことからも、地方競馬では主にダートコースがメインとされているようです。
中央競馬に関しては、開催が土日のみという点から、開催場所を分散させても収益を確保できるため、時期をずらして開催することにより、芝の管理をしやすくしているようです。
また、中央競馬の競走馬はトレーニング専用の施設が用意されているのに対し、地方競馬では施設を確保することができないため、競馬場をトレーニング場所として使う必要があり、芝であるとますます管理が難しくなってしまうという観点からも地方競馬ではダートコースがメインとされているようです。
なので、ダートコースがメインとされている地方競馬では、一見地味に見えがちですが、予想する側としては、レースが荒れにくく展開が読みやすくなり、必然的に予想しやすい、当てやすいというメリットもあります。
賞金や競走馬のレベルの違い
地方競馬と中央競馬の違いに関しては、競走馬のレベルの違いも顕著です。
地方では無敵の強さを誇っていた馬も、中央競馬に行くと全く歯が立たないといったケースもあるようです。
中央競馬のビッグレースともなると、1着賞金が1億円を超えることも多いですが、地方競馬ではそのクラスのレースはなく、そこには大きな賞金格差が存在しています。
地方の一般的なレースの賞金は30~50万円ほどなのに対し、中央競馬は一番下のランクのレースでも賞金額は500万円近くあり、かなりの差があります。
そのため、能力の高い馬は中央競馬に所属するのが一般的な傾向となっているようです。
ただ、地方出身馬の中でも中央競馬で通用する素質と実力を持った馬がいないわけではありません。
有名な馬で言うと、オグリキャップやハイセイコーなどが挙げられ、地方競馬からデビューし、のちに中央競馬のG1レースを制した馬もいました。
また、賞金に関しても地方競馬でも賞金額が高いレースもあります。
南関東4競馬場は賞金額がとても高く、レベルの高い馬が揃っています。
大井競馬場で行われるJBCクラシックは8000万円の賞金と、中央に引けをとりっていません。
騎手の違い
競走馬に騎乗する騎手も所属が決まっているため、中央と地方では異なります。
よく耳にする外国人騎手の名前などは中央所属の騎手であることが多いです
競走馬のレベルに関しては全然違うと触れましたが、騎手の腕前に関してはかなりいい勝負ができると言えるでしょう。
中央の騎手と地方の騎手は騎乗の方法が若干異なり、一長一短があります。
中央の騎手は人馬一体という言葉が似あう、とてもきれいなフォームの騎乗をします。
さまざまな条件や距離に適用するため、馬との呼吸を合わせた騎乗スタイルです。
一方で、地方の騎手は力強く馬を奮い立たせ、激しい騎乗をする人も多くいます。
レベルの低い馬でも、最大限に能力を引き出すための騎乗方法です。
とにかく前に行かせるため、粘らせるために激しい追い方を得意とします。
勝負服
騎手がレースできる勝負服にも違いがあり、地方の騎手は選手ごとに違う勝負服を着ます。
どのレースに乗っても、マイユニフォームを着ている状態なので、騎手とユニフォームが分かればレース中も見つけやすいでしょう。
中央競馬の騎手は、馬主ごとに違う勝負服を着ます。
なので、ほぼ毎レース違うユニフォームを着ている事の方が多いです。
地方競馬は勝服さえ覚えれば騎手が覚えられるのに対し、中央競馬は勝負服を覚えれば馬主が分かるようになっています。
クラス分けの違い
中央競馬
JRAでは新馬・未勝利、1勝クラス、2勝クラス、3勝クラス、オープンクラスの5段階でクラス分けされています。
オープンクラスに上がることができれば、賞金や条件次第でGIにも挑戦する事が出来ます。
JRAの重賞は全て国際競争なので重賞レースは「G」で表記され、重要度が高いレースからGI、GII、GIIIクラスに分けられています。
また、レースの格付けではオープン特別と重賞の間に準重賞と呼ばれるリステッド競走が設けられています。
リステッド競走はオープン特別より賞金が高く設定されています。
基本的に、3歳秋までに中央競馬で勝利を挙げられなかった馬は、未勝利クラスのまま1勝クラスのレースに出走することになります。
しかし、この時点で未勝利馬と1勝クラスの馬には実力差がかなりあるためほぼ勝てません。
現在JRAでは、降格制度が廃止されたため、各クラスで能力が頭打ちになり、賞金が稼げなくなってしまえば地方競馬に転出するしか道はありません。
また、3勝クラスになれば優勝しなくても8位までに入賞していればそこそこの賞金を稼ぐことができるので、そのまま在籍し続けまることが多いです。
そのため、このクラスになると同じクラス内でも上位組と下位組で能力差がかなりあるようです。
地方競馬
地方競馬でも所属馬はクラス分けが行われています。
しかし、基本的に所属する競馬組合のクラス分けなので、地方競馬全体で統一されている訳ではありません。
基本的に未勝利、Cクラス、Bクラス、Aクラスの4つのクラス分けが行われます。
A1、A2のように、各クラスをさらに細分化している地方競馬もあります。
そのため、地方競馬交流競走で同じクラス表記がされても、実力馬が揃う南関東所属の馬と高知競馬では能力にかなり差があります。
地方競馬のクラス分けはレースの着順でポイントが増減し、その累計で昇格、降格が行われます。
そのため、JRAとは異なり同じクラス内であれば能力に差があまりありません。
その分、当日の馬の気配を見る力が必要になり、馬券も絞りがたいと言えます。
また、未勝利馬でも着順のポイントを加算し続ければ最低クラスのCクラスに昇格することができ、馬主が厩舎へ委託料さえ払い続けられれば現役生活を続けられます。
もちろん地方競馬にも重賞と名の付くグレード競走があり、国際競走は「G」、それ以外の重賞は「Jpn」で表記され、JRAと同様に重要度に伴い1~3のランク付けがされています。
馬券の購入方法の違い
JRAの馬券は、JRA主催の競馬場及びウインズ・エクセル、J-PLACEといった場外馬券場で購入することができます。
また、直接現金で馬券を購入しなくても、JRAが提供する電話投票、即PATやA-PATといったネット投票が可能となっています。
地方競馬に関してもここは同じで、各競馬団体が主催する競馬場及び連携している場外馬券場で購入が可能です。
地方競馬もネット投票が可能ではありますが、JRAとは異なり独自のネット販売システムを持っていません。
地方競馬のネット投票は各地方競馬と提携した代行会社が行っているようです。
代行会社 | 購入可能日 | 購入可能なレース | JRAの馬券購入 | ポイントシステム |
即PAT | 火・水・木・土・日 | ばんえい競馬を除く地方競馬 | 可能 | ✕ |
SPAT4 | 全日 | 地方競馬全て | 不可 | 〇 |
オッズ・パーク | 全日 | 南関東を除いた地方競馬全て | 不可 | 〇 |
楽天競馬 | 全日 | 地方競馬全て | 不可 | 〇 |
JRAが提供する即PATでは購入出来る地方競馬のレースが限られるうえ、JRAの休業日である月曜日は、馬券の購入をすることができません。
地方競馬は曜日に関係なくどこでも開催されているので、せっかっくお目当てのレースが買えないといったトラブルの危険性がなくなります。
一方、他の3つはそれぞれ一長一短ありますが、馬券の購入額に応じてポイントが付く等、即PATにはないサービスが充実しており、ポイントは馬券以外にも使う事が出来ます。
地方競馬と中央競馬の騎手の現状
日本における競馬には、政府から全額出資され農林水産省が監督している日本中央競馬会(JRA)が主催する中央競馬と、地方公共団体などが運営している地方競馬の2種類が存在し、それぞれのスケジュールや規模によってレースが開催されています。
国が運営費を出資し、さらにレースの規模やファンの数も大きい中央競馬に対して、それぞれの自治体や地方公共団体によって運営されている地方競馬では格差もあり、賞金額やレースを走る馬の実力にも差があることが問題視されています。
厳しい経営状況が続く地方競馬
日本には複数の公営ギャンブルが存在していますが、中でも競馬の人気はかなり高いと言えるでしょう。
反面、バブル期と比較して競馬の売上額は減少しており、特に地方競馬では2000年代に各地で廃止が続いたこともありました。
現在は競馬のイメージを刷新して若者のファン獲得に取り組んだり、ITを導入した経費削減なども導入されていたりしますが、それでも90年代と比較すれば厳しい状況が続いていることに違いありません。
ゲームやアニメとのコラボによる人気回復策
JRAは広報戦略の一環として若者に人気のアニメやゲームとコラボをし、ファン層を広げる取り組みを進めています。
また、2021年2月には民間のゲーム会社から、会社の名馬をモチーフにしたスマホゲームも販売されるなど、幅広い世代で数多くのファンを獲得することに成功しています。
ただ、競馬そのものに関する知名度が上がったと知ても、全てのファンが実際に競馬場に足を運んでくれるとは限らず、急激な成長を即座に期待することは難しいかもしれません。
とはいえ、中央競馬に関しては、1997年を境に減少し続けていた売上額が、2011年を境に右肩上がりを続けていて、2020年度には売得金額が3兆円目前に達したという事実もあります。
経済状況による騎手の収入格差
騎手の年収を比較すると、およそ中央競馬では平均1,000万円とされる1方、地方競走では500~600万円程度とされており、どうしても収入に開きが出てしまいます。
また、JRAのリーディングジョッキーや騎手リーディング上位者については、マスコミからの注目を集めることが多く、CM出演料やスポンサー料により高額な収入を目指すことも可能です。
まとめ
今回は主に地方競馬と中央競馬の違いについて紹介していきました。
レースや賞金の規模から、中央競馬に注目が行きがちですが、競馬予想などに関しては地方競馬の方が初心者の方には比較的おすすめであると言えるでしょう。
また、開催日時に関しても、地方競馬は各地でほぼ毎日開催されているので、気になる方は是非チェックしてみてください。